【コラム】ノートパソコンの要求性能
入学時に購入したノートパソコンの性能が十分でないために、CADやCGモデラー、Adobe系の画像処理ソフトのような比較的高価なソフトウェアだけでなく、ワードやエクセルなどのような事務系ソフトウェアの動作にさえ支障が出ているという例がよく見られます。使用するパソコンの性能不足は、最終的に、学生自身の学習成果、つまるところ成績に影響を及ぼします。パソコンの性能は、私たち教員が学生だった20年前と比べて格段に向上していますが、逆にその成長速度は鈍化しています。現在であれば、入学時に購入したパソコンを大事に使えば、なんとか4年間は使用に耐えると考えています(ただし大学院に進学する場合は、やはり買い換えた方が無難です)
そこで本稿では、現時点で私なりに考えた、最低限必要と考えられるノートパソコンのスペックについて述べてみたいと思います。考えるべきポイントは以下の項目です。
- 筐体の大きさおよび重量
- CPUの速度
- メインメモリの容量
- グラフィックスメモリの容量
- 記憶メディアおよびその容量
- インターフェース(キーボード・タッチパッド・マウス)
- バッテリー
- 外見的な特徴
- OS
1. 筐体の大きさ
13インチを推奨します。15インチは作業画面が大きいですが、持ち運びに不便です。11インチではCADやドロー系のソフトでは狭くて作業になりません。13インチでも狭いですが、画面の解像度が昔に比べて高くなっているのでなんとかなります。重量は2[kg]以下を推奨します。
2. CPUの速度
現時点ではほとんどIntel社のCPUだと思いますが、2[GHz]以上を推奨します。Core i5かi7かという点については、体感的にはあまり違いは感じられません。デュアルコアかクアッドコアかといえば、クアッドの方が早いですが、そこは予算次第です。
3. メインメモリの容量
少なくとも8[GB]、できれば16[GB]を推奨します。
4. グラフィックスメモリーの容量
ノートパソコンの場合、ほとんどがオンボードのグラフィックスメモリとなります。特殊な処理をする必要があれば別ですが、特にないのであればこだわる必要はありません(こだわれる要素ではないです)。
5. 記憶メディアおよびその容量
絶対にSSD(ソリッドステートドライブ)でなければダメです。旧来のHDDではリードライトタイムが絶望的に遅いため、あらゆる作業に遅延をもたらします。容量は128[GB]あれば日常の作業には十分ですが、4年間のデータをため込むには少ないので、外部ストレージが必須です。外部ストレージはHDDであっても容量の大きなもの(1[TB]もあれば十分)を使用してください。
6. インターフェース
手に触れるものにはお金をかけた方が絶対的によいと言い切れます。キーボードの打鍵感がよく、安定している(キーが左右前後にクラクラしない)ものでなければなりません。ストロークが深過ぎると手が疲れるだけでなく、必然的に筐体の厚みが増します。タッチパッドがキーボードの中心にないものや、小さいもの、変わった形状をしているものは論外です。大学や外出先ではタッチパッドでもいいですが、自宅や研究室などのような腰を落ち着けて作業できるところではマウスで操作する方がよいです。マウスの大小は好き嫌いですが、無線よりも有線マウスの方がポインタの動作が安定していてよいです。解像度が1000[Hz]くらいの、いわゆるゲーミングマウスのほうが細かな作業ではフラストレーションが少ないです。
7. バッテリー
最近はフル充電で10時間も持つというのが多いため、バッテリーのスペックよりも充電ケーブルを2本購入し、自宅と大学とに置いておけるようにした方がよいです。ケーブルを持ち運ぶことによる疲れや、持ってくることを忘れて充電できないといった問題から解放されます。
8. 外見的な特徴
国産のノートパソコンは全てその外見という意味で論外です(項目6の点でも却下になる事例が多いです)。外見的な良さは、一時期Appleの牙城でしたが、最近はMicrosoftもなかなかシンプルでよいです。東アジア系のメーカーはAppleのパクりオマージュ的な外見を持つものが多いですが、ディテールへのこだわりという意味では天と地の差です。LenovoのThinkPadシリーズは剛健というイメージですが、バンドルされる各種管理ソフトが多くて重いという悪い印象が拭えません。
9. OS
基本的にはmacOXかWindowsかということになりますが、さまざまなソフト利用の観点からいえば、Windowsのほうがよいです。Macでもブートキャンプやパラレルデスクトップを使う手もありますが、それらよりもなにより、本体メーカーが勝手にバンドルする無駄で不要なソフトがプリインストールされていないことが何よりも大事です。その点を考えれば、AppleかMicrosoftしか選択肢は残されていないともいえます。
以上のことを勘案し、おすすめのノートPCを選出してみました(2018年9月現在)。
- Surface Laptop/128 GB/Intel Core i5/8GB RAM:136,944円
- Surface Pro/128 GB/Intel Core i5/8 GB RAM:136,944円 ※その他オプションの購入が必須
- MacBook Pro/13インチ/第7世代の2.3GHzデュアルコアIntel Core i5プロセッサ(Turbo Boost使用時最大3.6GHz)/Intel Iris Plus Graphics 640/8GB 2,133MHz LPDDR3メモリ/256GB SSDストレージ:177.984円
- MacBook Pro/13インチ/第8世代の2.3GHzクアッドコアIntel Core i5プロセッサ(Turbo Boost使用時最大3.8GHz)/True Tone搭載Retinaディスプレイ/Touch BarとTouch ID/Intel Iris Plus Graphics 655/16GB 2,133MHz LPDDR3メモリ/256GB SSDストレージ:220,800円
- Surface Book 2/13.5 インチ/512 GB/Intel Core i7/16 GB/GPU:336,744円
なお、MacでWindowsをブートキャンプで動かす場合、WindowsのOSそのもののDVDイメージデータが必要になり、その分の価格が上乗せされます。Surface Proの場合、マウスやキーボードなど、周辺機器を別に購入する必要があります。